原始日本人の世界では「こほり(氷)」はどのような位置づけか。最初期の日本人は華南地方から筏や舟で南シナ海を渡って琉球諸島に上陸したという理解に立っている。そこから北上し九州から、本州へと北上を続けて拡散した。その行程の高山かどこかで雪や氷と遭遇している。その時それにどのような名前をつけたのか。北方の冬は氷雪の地に至って後にアイヌと呼ばれる人たちはもちろんその前に”雪”や”氷”の名称はもっていた。
それはともかく現在は次のようになっている。
| 和語 | 琉球・沖縄語 | アイヌ語 |
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氷 |こほり |くうる、くーり、こーり |こんる |
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雪 |ゆき |ゆち |(うぱし) |
一見して「こほり」「くうる」「こんる」系統の語は水が「凝り」固まったものである。
こ(凝)-こふ(凝ふ)-こほる(凝ほる)「こほり氷」
-こる(凝る)「こり、こる、こんる」
「ゆき(雪)」「ゆち」は不詳である。「うぱし」については動詞「ぱし(走る)」に前接語「う(互い)」がついた形で「雪は天からアイヌの村に競争して遊びに来ると考えていた」との辞書編者の萱野茂氏による解説がある。